池袋中央法律事務所

遺産分割調停の限界

お問い合わせはこちら

一部の相続人が遺産に含まれている預金を取得してしまった場合の対応

一部の相続人が遺産に含まれている預金を取得してしまった場合の対応

2025/02/19

1.原則

 相続が開始されると、相続人が複数の場合には、相続人の間で遺産分割協議を行うことになります。遺産分割協議とは、遺産について誰が何をいくら相続することにするのかについての話し合いのことです。しかし意見、希望がまとまらず協議がまとまらないときには、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて家庭裁判所関与の元、遺産分割の話し合いを行うことになります。それでも話し合いが付かなければ、家庭裁判所が「審判」という名称で呼ばれる裁定を下すことになります。このような流れが原則です。

2.しかしながら遺産分割調停・審判によっては全ての遺産について適切な分割を決めることができないケースがあります。

被相続人の生前に被相続人自身が預貯金を払い戻して使ったというのならばよいのですが、遺産に含まれるはずの預貯金を相続人の一人が被相続人の意思とは無関係に払い戻して自ら取得してしまったというケースがそれです。つまり高齢となり自ら銀行に出かけることができなくなった被相続人の代わりに家族が預金の管理をするようになると、被相続人の預貯金を自分のために使ってしまうことになりがちなわけです。それが相続の際に問題となるわけです。

このようなときには遺産分割調停・審判だけでは解決することができません。なぜなら、遺産分割調停・審判は相続開始時(被相続人の死亡時)において現に存在している遺産であり、かつ調停成立時または審判時に現存している遺産のみを対象とするということになっているからです。いくら本来遺産に含まれているべき財産であったとしても、現に遺産として存在していない払戻し済みの預貯金については対象とはならないのです。遺産分割調停・審判を経ただけでは、ある相続人が被相続人の預貯金を無断使用したことを容認し、払戻しした者勝ちという結果となってしまうのです。

3.そのようなとき、面倒なのですが遺産分割調停・審判とは別に、被相続人の預貯金を法律上の根拠もないのに不当に取得したとして不当利得返還請求訴訟を提起しなければなりません。

遺産分割調停・審判と不当利得返還請求訴訟との二つの手続を経て、初めて適切な遺産分割を実現できるのです。

 

 

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。