共同親権導入による親権者指定の法的変化
2025/12/07
日本ではこれまで、離婚と同時に親権者の指定が行われるのが一般的でしたが、共同親権の導入に伴い、離婚の成立と親権者指定を法的に分離されることとなりました。本稿では、共同親権導入に際して分離された離婚成立と親権者指定の法的変化について、その背景や具体的な内容を詳しく解説します。
目次
共同親権導入前の親権者指定:日本の従来の法制度を振り返る
日本における親権者指定の従来の制度は、離婚と同時に親権者を決定するという一体的な手続きが特徴でした。これは、離婚協議において協議が整わなかったときでも離婚成立の調停または判決の中で、どちらの親に親権を委ねるかを決める形態で、親権者の指定がされて初めて離婚が成立するとされていました。しかし、この方法では、離婚することには夫婦のいずれにも争いはないのにもかかわらず、どちらが親権者となるのかについての対立が解消しない限りは離婚を成立させることができないというとになります。父母のいずれか一方のみを親権者としなければならないということによって、親子の間では何の問題点もなく夫婦の離婚に直面しなければ、末永く良好な親子関係が育まれ続ける筈であった親子関係に大きな亀裂を残すことになってしまいがちだったのです。親権を確保するために後手を踏んで自ら監護養育できない状態に陥ってしまってからの親と子との交流が難しくなることはもちろん、自身が親権を確保するために子どもに対して配偶者のことを必要以上に悪く述べて親子関係を悪化させてしまうこともありました。このような事態は子の福祉にとっては看過しがたい問題でした。
こうした課題を受け、法改正により離婚の成立と親権者指定が分離され、共同親権の概念が導入されることとなりました。本稿では共同親権導入前の親権者指定の制度とその問題点について詳述し、今後の法改正の意義を考察します。
離婚と親権者指定が分離された背景とは?法改正の狙いとその意義
日本における親権制度は長年、離婚と同時に親権者が一方に定められる単独親権制が一般的でした。しかし、共同親権の導入を目指す法改正により、離婚成立と親権者指定が法的に分離されることとなりました。この変更の背景には、子どもの福祉を最優先する視点の強化があります。従来の制度では、離婚時に親権者を決めることが親権争いを激化させる要因となっていましたが、共同親権の導入によって、もともと子どもの監護養育について離婚後も両親が協力して養育に関わることを可能な状態にあったならば、それを徒らに困難にさせることなく、後押しをすることにより、むしろ子どもの健全な成長を支えることができるようになると期待されているのです。
新たな親権の枠組み:共同親権導入による具体的な法的変化を解説
日本における共同親権の導入は、親権者指定の法的手続きに大きな変革をもたらしています。従来は離婚と同時に親権者が一方に決定されていましたが、今回の法改正では離婚の成立と親権者指定を明確に分離し、それぞれ独立した手続きとして扱うことが特徴です。この分離により、親権者の指定がより柔軟かつ子どもの福祉を最大限に考慮して判断することが可能になります。また、共同親権の導入は親権の責任を両親が共有することを前提としており、実務においても今まで常識と思われていたことが大幅に見直されていくことになるものと思われます。
離婚の成立と親権者指定の分離の内容とその意義
法改正により、離婚の成立と親権者の指定とが分離されたと繰り返し述べてきましたが、それは離婚届出の際に親権者の指定を決めた状態でなくても受理されるという点に端的に表われています。今までは、離婚届出には親権者を父母のいずれにしたのかについて明記しなければならないとされ、未定の状態では受理されませんでした。しかし今般の改正により離婚後の親権者について未定の状態であっても受理されて、離婚が成立することになったのです。
しかしそれには条件があります。親権者を決めるための調停または審判が申し立てられていることです。つまり離婚の成立と親権者の指定とを分離することで、親権者指定の問題を先送りにして離婚の成立だけを急ぐことを容認するという趣旨ではないということも留意する必要があります。決して婚姻中と同様、離婚後も共同親権であることを原則とするということではありません。このことは極めて重要です。もし民法が離婚後も共同親権とすることを原則とするというのであれば、親権者を決めるための調停または審判の申立てがされていることを離婚届出受理の要件にする必要はないわけです。ややもすると共同親権が認められたことから、今後は離婚後も父母の共同親権が原則になると論じられることもありますが、それは誤りです。 あくまでも、共同親権が認められたというのは選択肢が一つ増えたということなのです。
そしてまた親権者指定の調停または審判については、裁判所の許可がない限りは取下げることができません。親権者指定の問題を棚上げにしたままにしておくことは認められないということです。
子どもの福祉を最優先にした親権制度の未来:共同親権導入後の展望
日本における共同親権の導入は、従来の離婚と同時に親権者を一方に定める慣行を根本から見直すものです。法改正により、離婚の成立と親権者の指定が法的に分離され、これまでの単一親権モデルから子どもの福祉を最優先に考えた新たな枠組みへと移行しました。この変更は、子どもが両親と引き続き良好な関係を維持できる環境づくりを目的としています。今後の親権制度の展望として、子どもを中心に据えた柔軟かつ実効的な親権の在り方が期待されています。
共同親権の導入のための環境整備:離婚成立と親権者指定の分離が必要な訳
日本における共同親権の導入は、従来の親権制度に大きな変革をもたらすものです。これまでは離婚と同時に親権者が一方に決定されることになっていて、親権者指定が離婚手続きの一環として行われていました。しかし、共同親権の導入に併せて、離婚の成立と親権者指定が法的に分離されることとなりました。この改正は、離婚問題の対立が長引き、先鋭化することによって、もともと父母協力し合って子どもの監護養育を行うことができたはずなのに、それが困難になってしまい、ひいては子の福祉に反する事態を招くことを回避することを意図したものです。共同親権を採用するためには、父母が子どもの監護養育に関する限りは互いに相手の考えを尊重し、信頼関係を維持して協力し合うことができることが大前提なのです。離婚問題の対立と切り離すことで、共同親権を機能させていくことを期待しているということなのです。